新技術の開発やサービスの提供などにより、新たな市場の創出や開拓を図るなど、優れた事業実績を残している企業に贈られる第十二回「東北ニュービジネス大賞」に、北上市口内町にある佐々木印刷(佐々木信雄代表取締役、資本金千五百万円)が選ばれた。台紙(はくり紙)を使わないシールとして話題を集める「ハグレス」をはじめ、青果物に直接張れる安全素材のラベルとして商品化に成功した「菜果ラベル」など、その独創的な商品開発が高く評価された。表彰式は二十五日に仙台市内のホテルで行われる。
この表彰は、東北地域の企業を対象にニュービジネスに関する起業家精神の高揚と、新規事業の発展に貢献するため、社団法人東北ニュービジネス協議会(会長・大山健太郎アイリスオーヤマ社長)が毎年行っている。
審査対象となるのは、いずれも新しい技術や新素材、新サービスなどを提供することで、市場の創出や新規開拓に成功している企業。この中から特にも今後の産業の活性化に大きく貢献すると見られる企業や、起業家精神を発揮している企業経営者(アントレプレナー)に対しては大賞、それに準じた企業には奨励賞が贈られる。
審査委員会は九人の委員で構成。東北各県から推薦された各企業の実績や取り組み事例などを参考とした上で、大滝精一委員長(東北大学大学院教授)をはじめ、大山健太郎会長、高木博康東北経済産業局地域経済部長などが審査に当たった。
東北ニュービジネス大賞で、最高栄誉の「大賞」に選ばれた佐々木印刷は、昭和五十五年四月に設立され、従業員は二十五人。各種のシールやラベルの印刷を手掛けている。特に近年は、特殊シールやラベルの印刷で実績を伸ばしている。
同社の独創的な商品の一つ「ハグレス」は、台紙を使わないシールとして注目される。台紙をはがす手間がないため、作業能率が向上するほか、ごみとして処理される台紙の削減、製品のコンパクト化に成功した。さらに、シールの表面にペンなどで自由に書き込みができるのも同社製品の特徴で、物流や飲料品関係の大手メーカーも採用している。
また、十七年春から販売を開始した「菜果ラベル」は、野菜や果物の表面に直接張れるシール。粘着素材に安全性の高いゴム系の材料を独自に開発したことで、食品衛生法にも適合するなど人体への影響のないラベルの商品化が実現した。このラベルは、生産地やブランドのPRとして使えるほか、生産から加工、流通・販売までの流れを把握するトレーサビリティにも貢献できる−として注目される。
今回の大賞受賞について佐々木社長は、「企業間の競争に勝つため、新商品や新技術の開発に力を入れてきた成果」と喜ぶと同時に、この賞を励みに今後も新しい分野に目を向けた製品の実用化を目指したい−と語っている。 |
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